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煌斗が目を覚まして最初に見たものは、真っ白な天井だった。
蛍光灯には光が灯っていないが、窓から入ってくる光が眩しい。
とりあえず首だけを動かして回りを見ると、ここは病院の個室のようだ。
誰か来ているらしくパイプ椅子の上にバッグが置いてあるが、持ち主は不在。
煌斗「ん・・・っと。」
体が異常なまでに怠い。
それでも体をゆっくりと起こす。
痛みは・・・ない。
煌斗「おお・・・完全に塞がってる。さすがは集中治療だな。」
着ていた病院の服の隙間から除いた体には包帯も巻かれておらず、あの痛々しい傷は無かった。
それでも傷痕は残ってしまっているようだが。
これは秘術、集中治療の成果である。
患者と使用者の魔力を使って細胞を活性化させる、魔力を持つ退魔師専用の特別な治療法。
だが、たとえ照正が全ての魔力を注ぎ込んでも足りないほど膨大な魔力を消費する。
煌斗は救急車によって病院ではなく神崎の家に運ばれた。
そこで修練場に設置されている『陣』を使い、大勢の退魔師で陣形を組んで『集中治療』が行われた。
その後病院に送られたというわけだ。
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