ポッキー以上キス未満

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「突然ですが、ポッキーいりません?」  生徒会長がそんな話題をふってきたのは、生徒会の仕事の休憩時間だった。  結構長い間作業をしていたらしく、窓の外では鮮やかな夕焼けが空を飾っていた。下校時刻はとっくに過ぎている。 「ポッキーですか?」 「はい、ポッキーです。ちなみにイチゴ味だよ」  特に断る理由もないし、人の好意を無駄にするのもよくない。 「じゃあ、せっかくだし、いただいていいですか?」  僕がそう答えると、生徒会長はポッキーの袋を一つ取り出し、封を切った。 「それじゃあ、はむ。あーん……」  そして自分の口に含むと、それを僕の口元に近づけてきた。  ――え? 「ちょ、ちょっと、会長? な、なにしてるんですか?」 「何って、ポッキーを渡してるだけだよ?」  渡してるだけって……。 「あの、普通に渡してくれたら、それでいいですから」 「えーなんでー? それじゃあおもしろくないじゃない」 「ポッキー渡す時にまで、おもしろみを求めなくてもいいですから」  どっかのカップルじゃあるまいし。 「だーめ。今の時代、おもしろみは重要だよ。ほら、ポッキー」
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