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ここより広がる果てのない砂丘。
かつてここに栄えた王国があった。
砂漠は広大であり、土地勘のないものが踏み入れば生きては帰ってこられないほどの過酷な場所である。
しかし、東部に位置する大河エレゴスの流域では、小さいながらも集落や街などが興っていた。
現地に住んでいた農耕民族たちが、大河の水流を生かし、乾燥に強い作物などを育て、物々交換をしていた、というのが起源だ。
それを統合して出来上がったのが【カタール王朝】である。
砂漠にとっての一種、オアシス的な場所に出来上がった文明は、水流の恵を得て交易などを行い発展を遂げ、独立国家として成り立つまでになった。
前身であるフレイア王朝から合わせれば、何百年と昔から存在していた国である。
そしてそこに住む人間はアシュタールと呼ぶ。
この世界の圧倒的多数が占めるはフロンティアという人種であるが、数は劣るものの独自の進化を遂げ、生き残ってきた。
砂漠という閉鎖的な環境の中、種を守るためにアシュタール人は対外的な政策をいくつも行ってきた。
安寧の日々が数百年と続き、これからもそれが続くものだと信じていた矢先―――
その願いは虚しく、夢の如く散ってしまう。
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