序 章 狂乱の果て

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 創世神オルティヌス――― その名はこの世界の名前でもあり、全ての起源とされる全知全能の神。 創世神が降り立った時、この世界にあったのは“闇”であった。 そこで創世神はその闇の中に僅かながらの光を灯したところ、闇は一瞬で消え去り、世界には光が溢れたという。 一握りの土塊を手に取り、それを四方八方に振り撒いたところ、大きな土の塊となり、いずれそれが大陸になった。 それぞれ散らばるように四方に散った大陸を、創世神は 【火の国】 【水の国】 【風の国】 【雷の国】 と名づけ、そこに自分の息子である四人の神々を遣わした。 そこまでは聖書に書いてあることであり、宗教史を齧ったことがある人間ならば誰でも知っているような内容のものだ。 炎帝アルバード 水帝カルデナ 風帝アストラル 雷帝ジルヴァ この世界に広がる大陸の名は、全てこの四神帝の銘を使ったものである。 息子たちに大陸を分割した後、オルティヌスは姿を眩ますのだが――― 何処に消えたかは、今もって解明はされていない。 しかし、一握りの土くれから世界を創造したオルティヌスは全知全能の神ではなく、土神なのではないかと予測する宗教学者が多い。 まるでカルデナ皇国の付属として発展していたかのように見えたカタールこそが、創世神オルティヌスが初めてこの世に降り立った場所ではないかとされている。 そう、つまりはカタール王朝が存在する、この砂漠こそが聖地であると――― .
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