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章1-1 総覧の眼
私は偶然であるとか、宿命であるとか、そのような言葉を信じるような人間じゃないんですよ。
それはそれとして、積み重ねたものが流れるような気がするんです。
日常を変えるということは、そうそう簡単に出来ることではありませんし。
何よりも昨日まで存在を認識されていた場所に、私の居場所がなくなれば恐ろしいとも思います。
言葉ばかり必死になっても、結局私は逃げ腰だったのかもしれないと…今思い返せばそう考えることも大いに出来ますね。
一歩手前で臆病風に吹かれて、何も言いだすことができなくなる。
例え私が考えて、言葉にしようとしていることが正しいことであっても、ね。
だから、そんな閉塞的な日常を変えるのは大変でしたよ。
こうして種族という壁を乗り越えることが出来たのは、あっという間だったような気もしますが。
肉体なんて、一種の足枷でしかないんです。
魂の色が違っても、例え肌や瞳の色が違っても。
足枷を外して五感全てで感じ合えば――――この通り、壁なんて薄いものですよ。
天学星―――ブルックス・アレクサス
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