189人が本棚に入れています
本棚に追加
「っはー!晴れたねぇ!熱も下がったし良い俳句も詠めそうー……ん?」
なんだか視線を感じてそちらを向くと、曽良と目があった。
「なに?曽良くん」
「…いえ。なんなら詠んでみて下さいよ」
「よかろう。ぉげふん。
『熱下がり 気分は上々 最高だ』
…どうよ?」
ふんぞり返って紙を曽良の鼻先につきつけた。
「駄ブタが…」
ぼそりと呟くとともに、俳句の紙を手刀で引き裂き、
そのまま芭蕉の頭上へ凄まじい断罪チョップを食らわせる。
「ひつまぶしっ」
悲痛な叫びをあげながら倒れる師匠を捨て置いて、曽良はすたこらと先へ行く。
昨日の優しさはどこへやら。
涙ぐむ芭蕉をちらりと振り返り、悪どい笑みを浮かべる。
「~~~っやっぱりかわいくない!」
かわいいだなんて思われたくないですよ、
と返す曽良との言い合いが青い空に木霊する。
おわり。
最初のコメントを投稿しよう!