〓平泉

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「っはー!晴れたねぇ!熱も下がったし良い俳句も詠めそうー……ん?」 なんだか視線を感じてそちらを向くと、曽良と目があった。 「なに?曽良くん」 「…いえ。なんなら詠んでみて下さいよ」 「よかろう。ぉげふん。 『熱下がり 気分は上々 最高だ』 …どうよ?」 ふんぞり返って紙を曽良の鼻先につきつけた。 「駄ブタが…」 ぼそりと呟くとともに、俳句の紙を手刀で引き裂き、 そのまま芭蕉の頭上へ凄まじい断罪チョップを食らわせる。 「ひつまぶしっ」 悲痛な叫びをあげながら倒れる師匠を捨て置いて、曽良はすたこらと先へ行く。 昨日の優しさはどこへやら。 涙ぐむ芭蕉をちらりと振り返り、悪どい笑みを浮かべる。 「~~~っやっぱりかわいくない!」 かわいいだなんて思われたくないですよ、 と返す曽良との言い合いが青い空に木霊する。         おわり。
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