少女の場合

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AM 11:00 公園のブランコで一人の少女が静かに揺れていた。 なにをするわけでもなく、ただ静かに、虚ろな表情で。 足だけは動かしているが。 突然、涙ぐむが泣くのをこらえた。 公園には少女一人であった。 いつもは子供や老人がわいわいといて活気のある公園だが今は少女がこの公園を独占している。 「あたしの人生、なんだったんだろ‥」 「何一つ自分の思い通りにならなかったな‥」 少女の親は夫婦そろって教師であった。 そのため幼い頃から英才教育で育ち、過剰な愛の中で育った。 少女はそれに対し全く反発をしなかった。 親の期待に答えるように常に成績トップで、優等生らしい行いをしてきたつもりであった。 ただそんな自分が嫌でしょうがなかった。 ここにいるのも、そんな自分と家から逃げたためだった。せめて一日自分の好きなように過ごしたいと思ったためである。 今頃は少女の家はパニックであろう。
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