短編1 クリスタル

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私が生まれたのは数十年前、 いや、それよりも前なのか?生まれたときの様子は覚えていないが、近くに父上と母上がいたのは覚えている…それは当たり前か。   産まれた時の大きさは他のスノゥドラゴンより小柄だったようだ。 父上はスノゥドラゴンを治める長、わかりやすく言うと竜王だ。 母上はその妃、女王と言うべきなのか。だが父上も母上も、身分での差別はしなかった。皆平等の精神がモットーだったそうだ。お陰で同種族間の争いもなく平和だ。   そんな父を私は誇りに思っている。   母上はとにかく私を心配してくれた、小さかった私に栄養のあるものをたくさん食べさせてくれたのだ。狩の仕方、肉の剥ぎ取り方、雄竜の口説き方、など時に役立ち時にいらない知識までも教わった。 そうだ…確か兄がいたような気がする。私が生まれて間もないときに死んでしまったようだ。兄との記憶は全くない…残念だな。
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