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「明日、休みって言ってたよね。どこか行きたいな」
「悪い、急に仕事になったんだ・・・」
「・・・っ」
今にも泣きそうに顔を歪め、唇を噛んでいた。
仕事なんて、嘘。
ただ、鈴のそんな表情がみたいだけ。
鈴のそんな顔見て楽しんでるなんて、最低だな・・・俺。
見つめ合ったまま、どちらも一歩も引かない。
どちらかというと、お互いに引けないって感じ。
でも、先に目を反らしたのは俺の方。
長い長い沈黙は、そこで途切れた。
「鈴、とりあえず飯、食おう?」
「・・・うん・・・」
鈴の消え入りそうなほどの小さな声、凄く寂しそうに響いた。
悪い事をしている自覚は、ある。
鈴を、悲しませてる自覚も、ある。
つまり、確信犯。
どこかでそれを楽しんでる俺がいる。
もっと泣かせなくて、悲しませたくて・・・。
でも、鈴の事は愛してる。
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