私の家に現れた小さな黒猫

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嫌われることの多い野良猫。 不気味だといわれ嫌われることの多い黒猫。 仕事を終えると家に帰る生活が続く8月のある日。 普段と変わりなく仕事を終え帰宅した私は、普段と変わりなく食事を済ませテレビをみていた。 するとベランダから私を呼ぶ母の声が聞こえた。 私は呼ばれるままにベランダに向かった。 するとそこには、身体の小さなメスの黒猫がこっちを向いて座っていた。 その可愛らしく見つめる姿には見覚えがあった。 その小さな黒猫は、同じハイツに住む母の同級生家族が餌をあげてる『ゆき』という野良猫だった。 私は帰宅中など、彼女に餌をあげている所に通りかかった事がある程度だった。 しかし、その可愛らしい姿は私の脳裏に強く残っていた。 この頃たまたま母の同級生と会い、彼女が最近姿を見せていない事を知らされていた。 私は一緒になり彼女の心配していた。 そして、その彼女は今目の前にいる。 彼女の姿をみた私は、名前を呼びながら彼女に近付こうとした。 しかし彼女はそんな私を見て逃げようとし、私は歩みを止めた。 彼女は面識の少ない私に怯えていた。彼女はとても臆病だった。 そんなやせ細った彼女の姿をみて可哀想に思った母の同級生は、月日をかけて彼女に歩み寄り餌をあげていた。 私は急いで家の中に戻った。 母に同級生の連絡先を訪ね、彼女がベランダに来ている事を伝えた。 行動は早かった。 母の同級生は餌を持ちやってきた。 その姿をみた彼女は可愛らしい声を出しながら餌をねだりに歩み寄って行った。 私はしばらくの間、その暖かい光景を眺めていた。 母の同級生家族には私と4才年下の娘さんと6才年下の息子さんがいた。 娘さんとは、小学生の頃年に数回程の交流があった。 しばらく暖かい光景を眺めていると、遅れて娘さんが降りてきた。 彼女が餌を食べているのを確認するとホッとした表情をうかべた。 そして私をみつけた娘さんは、挨拶をし久々の再会に会話を始めた。 これが『小さな黒猫とフェレット』が導いてくれた出会いの始まりだとも知らずに…
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