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何故私だけがきらわれるのか…
でも愛してくれる人はきっと現れる。
きっと…
黒猫は、生まれた事から黒猫というだけで人々から嫌われた。
嫌われるだけならばともかく、ひどい目にもあうことも少なくは無かった。
そして、小さな身体の彼女は同じ猫からも嫌われた。
彼女に仲間や家族という存在はひとかけらも無かった。
原因は、猫の世界にある縄張り争だった。
その縄張り争いは激しく、身体の小さい彼女は傷だらけになるほど追いかけ回される事も少なくなかった。
その為、彼女は人だけでなく同じ猫にまで怯えるほど臆病になっていた。
そんなある日、彼女の身体の中には新たな命がやどった。
その命は無事に誕生し、日々成長をとげていった。
子ども達と戯れる彼女は母性に満ちあふれ、その生活は幸せそのものだった。
しかし、子ども達との別れは日に日におとずれた。
ある大雨の日だった。
彼女たち家族は、車の下で雨をしのいで過ごしていた。
しかし、その彼女たち家族に人間の作り出した車という兵器は突然襲いかかった。
雨をしのいでいた車が突然動きだしたのだ。
この兵器の突然の始動に一つの命はもろくも赤い命の証を残し、その短い一生を終えた。
これを期に、その他の子ども達も次々と一生を終えていった。
そして最後に母親である黒猫だけが残された。
そんな彼女を見守っていた、母の同級生家族は、そんな姿に胸をうたれていた。
彼女を守ってあげたい、その思いを胸に抱え、月日をかけ彼女に歩み寄った。
時間はかかったものの、彼女にその思いは伝わり、餌を食べるようになった。
そして、今まで辛い思いばかりしてきた彼女に、幸せになってほしいという願いを込めて、『ゆき』という名前をつけた。
そして、彼女を心の底から愛した。
時には彼女に歩み寄る悪から彼女を守ることも少なく無かった。
彼女はそれ程までに愛してくれる暖かな家族に心を許していた。
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