2年間の記憶。

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子どもの頃の出来事は運命の序章だった。 しかし、その出来事は始まりで終わりだった。 私の通っていた小学校には、学年に関係なく同じ地域に住む学生で集まる機会があった。 それは年に数回の集まりだった。 集まりの内容は、行事の飾りづけや地域の清掃活動などだった。 そしてその集まりの最後には集団下校を行っていた。 しかし、帰る場所が祖父母の家だった私は、いつも一人での下校だった。 私が小学校5年生の時、彼女は新入学生として入学してきた。 学年の違う二人は、擦れ違う事があっても、関わりをもつはずが無かった。 しかし、同じ地域に住んでいた私と彼女は、必然的に出会うことになった。 地域の集まりはすべての学年を集めて、30名程だった。 当時5年生だった私は、6年生は1人しか居なかった事もあり、私が前に出てとりまとめる事も少なくは無かった。 黒板の前に立ち眺める景色は、特に騒ぐわけでもなく不思議に満ち溢れていた。 そんな集まりの中で何かと気になったのが彼女だった。 何か発表の機会がある度に彼女は手を挙げ、小学生とは思えない程の意見を発表した。 私はそんな彼女を意識してみるようになっていった。 そんな彼女との出会いをきっかけに、私は彼女を知り始めた。 私の母が彼女の両親と同級生だということもこの時に知った事だ。 ただ、幼かった私には恋心などなく、彼女を妹のように感じていた。 出会いから2年後。 私は中学生になった。 年の差が4才離れた私と彼女は違う世界で過ごす事になった。 そして、私と彼女は互いに違う道を歩み、新たな経験を積み、大人へと成長を遂げていった。
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