成長した二人

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離ればなれだった二人。 そして同じ時を刻む。 久々に出会った二人の会話は、違和感もなく弾んだ。 話の内容はいたって平凡なものだった。 ただそんな平凡な会話が楽しかった。 近所迷惑など気にする事なく、ベランダ越しに話した。 二人の空白の時を埋めていくように。 当時18才だった彼女は、若さに満ち溢れていた。 そんな彼女は小学生時代の妹という印象とは違い、とても魅力に満ち溢れた女性へと変化を遂げていた。 しかし、昔と変わらないその笑顔と雰囲気に私は癒されていた。 さらに会話は続き、私は『ふー』という新しい小さな家族がいる事を伝えた。 彼女は『ふー』に興味を示し会いたがった。 私は彼女に少し待つように伝え、『ふー』にリードをつけた。 『ふー』を胸に抱き、家をでて彼女の元へ向かった。 ベランダ越しだった二人の距離は一気に縮まった。 家の中で走り回っていた『ふー』は、慣れていない外の雰囲気におとなしくなっていた。 走り回る事もなく、ただじっとしてる。 そんなおとなしい『ふー』をみた彼女はとても興味深い表情で『ふー』を気に入っている様子だ。 そんな彼女をみた私は、『ふー』が普段家の中で暴れている事や、その可愛らしさについて、何も考えずに話し出していた。 彼女はそんな『ふー』にも更なる興味を示し、私の話しを聞いていた。 そして、話の流れから日を改めて、私の家に遊びに来る約束をした。 そんな約束は早くも現実のものになった。 翌日も『ゆき』が私の家にやってきたからだ。 私は昨日と同様に連絡を入れた。 すると、母親と彼女が餌をもって降りてきた。 昨日と何も変わらない光景だった。 『ゆき』が餌を食べ終わったのを見届け、彼女と母親を家に誘った。 部屋にいる『ふー』は、普段と変わらず走り回っていた。 彼女はそんな『ふー』とはしゃいで遊んでいた。 その隣の部屋では、私の母と彼女の母が談笑をしていた。 夢中になって『ふー』と遊ぶ彼女。 私はそんな彼女の姿に癒されていた。
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