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幼い心。
その心は純粋。
しかし、それは無知でもある。
小学校で知り合った二人は、家が近かった事もあり、挨拶を交わすようになった。
元気な声で挨拶をする彼女は、幼いながらも礼儀正しく、しっかりとした雰囲気をもっていた。
私にとって彼女は、気になって仕方のない存在になっていた。
しかし、それは妹のような、ただ無心に気になる存在だった。
もうすぐ7月を迎えようという頃、地区ごとに小学生が集まり、七夕の笹飾りを作る恒例行事が開かれた。
もちろんその中に彼女もいた。
小学生達は、それぞれが年齢の壁を越え、必然的に小さなグループを作って作業を開始した。
そして、様々な思いを抱え、あらゆる飾りを作っていった。
中には遊ぶことに心を奪われ、作業など忘れ去っている小学生もいた。
そんな中で彼女は、物静かに黙々と輪繋ぎを作っていた。
彼女は集団から離れ一人だった。
切った折り紙にノリをつけ、輪にしては引っ付けていく、そんな単純な作業を黙々と続けていた。
彼女の足下には長く繋がった輪繋ぎが山になっていた。
その山積みになった輪繋ぎからは、彼女の頑張りを知ることが出来た。
そんな彼女の頑張りをみた私は、不意に彼女に歩み寄った。
しかし、どんな声をかければ良いのか、それすらもわからなかった。
そんな私は、不意に彼女の頭を笑顔でなでた。
私が彼女に出来る精一杯の行動だった。
彼女は不思議そうに私を見上げていた。
今考えてみると、この時にとった私の行動は、「彼女をもっと知りたい、彼女に近づきたい」という気持ちの表れだったのかもしれない。
そして、この時の私は彼女に恋をしていたのかもしれない。
ただ幼い私は、そんな感情に気付く事もなかった。
そして、普段と変わりのない平凡な生活にもどっていった。
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