いたずら

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子どものいたずら。 それはただふざけているだけ。 しかし、それは言葉に出来ないメッセージ。 小学校高学年になった私は、下級生の世話をすることも多くなった。 世話といっても行事や連休前の連絡や注意事項を説明する程度の役割だった。 しかし、そんな関わりのなかで、数名の男子生徒に私は好かれる事になった。 最初は、休み時間に私を見つけた下級生がじゃれてくる程度だった。 しかし、そんな関わりを続ける間に、彼らは休み時間になると私の教室までやってくるようになった。 そして、日に日に人数は増え、挙げ句の果てには30名程の団体になっていった。 彼らとの遊びは、ドッジボールや鬼ごっこというものが中心になっていた。 彼らは遊んでいく間に違った目的を持つようになった。 それはズボンをずらすというものだった。 彼らは必死でズボンをずらされまいと抵抗する姿を楽しんでいた。 その相手は誰でも良かった。 それは彼らにとって楽しくて仕方のない、ただのいたずらだった。 そんなある日、普段と変わりなく私は友達と会話を楽しんでいた。 その日は下級生の誘いもなく、同級生との落ち着いた時間が過ぎていた。 しかしその背後には小さな影が近づいていた。 そんな事に気付かない私は、会話を続けた。 次の瞬間、私の足に痛みが。 痛みの方向をみると、そこには彼女が走って立ち去る姿があった。 私はあまりの驚きに追いかける事も忘れ、ただ呆然と彼女の立ち去る姿を目で追っていた。 普段彼女は、下級生の団体に入ることもなく、一緒になって走り回る事は特に無かった。 そんな彼女がおこした突然のいたずら。 そのいたずらに隠された真実。 当時の私には、それがなんだったのか気付く事もなかった。 ただそんな彼女のいたずらに疑問を抱きながらも、何か心温まるものを感じていた。
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