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「だから、帰り道が分からないんだ!」
男はバツ悪そうにしている。
「魔法でなんとかすればいいじゃない。」
「出来たらこんなとこで迷ってないって(汗)」
「それもそうだね。しょーない。金貨二枚ね。」
「え?」
「案内料♪」
「げっ!……ただには…。」
財布の中を見ていう。
「ならないし、一文たりとも負けないよ。」
「とほほ…。」
男は落ち込み、その場に座り込む。
「ねぇ、魔法使い。名前は?」
「魔導師ね。俺の名はクラウス・アヴィーデル。」
ゆっくり立ち上がって言う。
「クラウスか。私はリシェルリア・エンバーティア。リシェでいいよ。」
私は目印を辿りながら先頭をきって歩いていく。
目印は木の幹に刺さった、柄に蔦の円の中に翼のある十字架の紋章のあるナイフ。
柄の色は黒で紋章の書かれた線の色は白。ナイフ自体はシンプルな十字架に見えなくもない。
そのナイフを引き抜いてはポーチに収める。
一体、何本ナイフを持っているのだろう?
クラウスの疑問も露知らず、私はどんどん先へすすんだ。
「なぁ。」
クラウスが口を開いた
「何?」
「その猫、なんでおとなしく肩にのってるんだ?」
「私の相棒だから。正確には父さまの相棒だけど、躾はしっかりしてあるんだけど…悪戯好きはなおらなかったみたい。叱ろうとしたら逃げちゃうし。ねぇ~?」
カミュを睨む。
ニャ~オ
「何のこと?」とでも言っているようにカミュはそしらぬ顔をした。
「そいつ戦闘に入ると逃げるんじゃないのか?」
何人か…いる
私は気配を感じ取っていたが、そしらぬ顔で
「そんなことないよ。戦ってくれちゃうしね。」
と言った
「そっか。」
クラウスの表情が一変して真剣なものになる。
「…来るぞ。」
私は腰にさげていた双短剣(普通の短剣より刃大きいが、普通の剣よりも小さい)を鞘から抜く
ざっと20ってところかな。
気配を読んで一振りの双短剣の刃を舐める。(癖)
ま、クラウスの実力を見せてもらおうかな。
鳥の鳴き声はいつしか聞こえなくなっていた。
そして、その代わりに高い草を掻き分ける音が聞こえてくる。
ガササッ!
「おっ!いいカモがいるぜ。」
人相が悪い男が草むらから出てきた。
「盗賊か。…リシェ、おお!?」
クラウスが私の居た所を見て驚いた。
私はクラウスの後ろの離れた所に来ていたりする。
「なんでそんなに…」
「私、タダ働き嫌いなの。」
「なっ!?」
「そういうことだから頑張って。」
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