一匹目

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[ぐにっ。] 「ふぎゅ。」 勢い余ってペダルを踏み外してしまった。 しかも代りに何か柔らかいものを思いっきり踏んでしまった様だ。 「…待て…。 今の声…って…。」 似ている。 似ているのだ、さっきのすすり泣きの声と、俺の足の下にいる何かが出した声は。 恐る恐る足を退けてみると、そこには… 「あいたたたた… 何するですか人間!」 喋る仔ネコがいた。 …ネコって人語喋ったっけか? 「もう少し重さがあったらシャロンは圧死してたトコで… で… …」 俺を見上げて硬直するネコ(シャロンだっけ?)。 「…? 何で俺の顔見て止まってるんだ? 何かついてる?」 その直後、衝撃的な言葉を聞く。 「…た、タイプですぅ…。」 「…はぁ?」 「し、シャロンって言いますぅ! あ、アナタの名前は…?」 「…俺? た、高野颯太だけど…?」 「ああ… 不運続きのシャロンに一筋の光が…! 今までのシャロンの行いが良かったからこんな暗くて狭くてジメジメした所で白馬…ではないけど何かに乗った素敵な男性と出逢えたのよ!! これって偶然…? いえ…これは必然!! 必然なの!!」 これって逆ナン? しかもネコが? つか一人(一匹?)の世界に浸ってるし。
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