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「は、早く逃げないと…!」
俺はほざきつつ唯一進める進路方向に向き直った。
…しかし
「ゃああぁぁぁ!
前からも来たですぅー!!」
シャロンの言うとおり、前からも後ろの壁と全く同じ速さで迫ってきているではないか。
「…嘘だろ…!?」
このままだとさっき考えていた時間より二倍早い時間には俺らは縦にぺちゃんこにされてしまう…!
まずい…
それだけは嫌だ…。
そんなほぼ赤一色の青チョッキを着たチビ髭親父がダメージ受ける時のような姿で葬式を迎えるのだけは絶対に嫌だぁぁぁっ!
「ひぅっ!?
そ、そんなのシャロンも嫌ですぅ!」
…どうやら今の台詞を後半部分だけ言ってしまったらしい。
しかし、シャロンが喋ってくれたお陰で俺の思考は正常、いや、通常の三倍冴えわたった。
この状況を何とか打破出来ないか…!
それだけに思考をフル活用する!
前、後ろはどう考えても無理。
右は完全に壁、壊せそうにない。
左、これまた壁、そして窓。
上、登れそうにないが青空が広がっている。
…って
「窓っ!」
「ま、窓がどうしたのですぅ!?」
「…今から割るっ!」
「…はっ!
そ、そういう事ですか!
流石颯太様ですぅ!」
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