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最後の言葉はあたしに言ったものじゃなくて、彼に言ったもの。
彼が無言のままあたしを見てくるから、ベッドについてる手にそっと触れる。
「うわぁお、ラブラブだね。
マイスウィートハニー、俺も子どもが欲しいな」
「これからが一番急がしい時よ、身重になんてなっていられないわ」
「わかってるけどぉ」
万里ちゃんと満さんはいつものように軽口を交わすけど、その言葉がいつもと違う。
どうやら少しは仲が発展してるみたい。
「また来るわ」
踵を返した万里ちゃんとは逆に、満さんは彼に顔を寄せる。
「昨日の賭けは新米パパに免じて俺の負けにしてあげよう」
言ったその顔はにやにやと表すのが一番正しいような笑顔で、ちょっとだけ嫌な予感がしたわ。
「打ち合わせは落ち着けてからしようね、
愛しのいとこ殿っ」
締めとばかりにウィンクした満さんは、戸口で待つ万里ちゃんに慌てて駆け寄った。
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