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「あー、俺も失礼するな」
最後、幹さんがちょっとだけ神妙な顔で声をかけてきた。
「もしもの話だけど、赤ん坊に君の力が――女神の力が現れるようなら相談してくれ。
父親の研究を引き継いだばかりで、まだ分かってないことのほうが多いけどそれでも力にはなれると思うから」
え?
それってどういう……?
「その時はよろしく頼む」
「ああ、父親の分も頑張るさ。
あの人を父親は守ることが出来なかった。
なら、息子の俺があの人の孫を守ったって悪くないしな」
姉さんはあの人の娘を守ったことになるんだし。
幹さんはそう笑うと肩を竦めて、手を振って部屋を出て行った。
残されたのはあたしと彼と、それから赤ちゃん。
さっきまでの賑やかさが嘘みたいに静か。
「そろそろ休んだほうがいい」
「……そう、ね」
頷いて、あたしはベッドに横になる。
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