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そろそろ眠たくなってきた。
赤ちゃんもぐっすり眠ってるし、みんなが来る前にお乳をあげたばかりだから少しは眠れると思う。
だけどその前にと、彼に言う。
「落ち着いたら、全部、あたしに話してね。
魔法使いのこと、
あなたの家のこと、
それから……あなたのこと。
知らないで何かに巻き込まれるのはもう嫌だから。知らないで、後悔はしたくないの」
「ああ。
俺に答えられることなら、なんでも話そう」
あたしの頭を撫でる彼の手の気持ちよさに目を閉じると、ぐんぐんと眠くなる。
そう、あたしは知らなきゃいけないことが多すぎる。
暫くは赤ちゃんにかかりきりになるかもだけど、それでも自由になる時間はあるはずだから。
幹さんについて、またひとつ謎が増えたんだったわ。
これも聞いておかないと……。
「目が覚めるまで、俺はここにいよう。
だからゆっくりと――……」
(05 桜舞う日の、・終)
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