-1:書店にて

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         千円札と硬貨が殆どで、愛想で一枚だけ5千円札。全部で2万円はある。    これでもあたしの全財産だ。  お手伝いをしたりしてためたお金を寄せ集めて、やっとこれだけ集まった。      だって、魔道書がどのくらいで買えるのかなんて、一般人のあたしにはわからないし。      ふっかけられるのは、覚悟してた。  だから頑張って集めた。     「おじさん、俺は売ってやっていいと思う」      どれくらい睨んでいただろう。      後ろから声がかかって、あたしは勢い良く振り返った。      そこにいたのは、あたしよりも少し年上の男の子。  整った顔立ちをしてるとは思うけど、それ以前にどこか作り物めいた雰囲気がある。      そのくらいの美少年。    
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