第1章

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ディスプレイを見るとそこには『萌』の文字。 AKBのモエー(・∀・)ー❤ではない。 フルネームは『朝霧 萌(あさぎり もえ)』。隣の家に住む同い年の女の子だ。 「……困った。」 そう、実に困った。 「…………出たくねえな」 出れば確実に面倒な事になると、18年間で培って来た直感が告げていた。 「……でもなぁ…」 出なければ確実に厄介な事になると、18年間で培って来た直感が告げていた 「……う~ん」 出るか。 出ないか。 面倒か。 厄介か。 等と思考を巡らせる。 「……悩み多き年頃だな」 なんて軽口を叩いてる間にもケータイはブーッブーッと着信を告げている。 「…わかってるよ。悩んでるんだよ。」 返事がある訳はないが、ぼやかずにはいられなかった。 「大体理不尽なんだよ。どっち選んでも俺はしんどいだけだし、こんなの選ぶのよっぽどのマゾだけだろ、俺はMじゃねえよ。……うん。違うはず。よくイジられるけどMじゃねえ。……でもSでもない。………どっちだ?」 出るか。出ないか。だけではなく、余計な事まで考え出して頭はパニック寸前。 段々ブーッの間隔が短くなっている気さえしてくる始末。 「……うぅううぅ。」 絶え間無く脂汗が出て来る。 大体自分は何故こんなにも苦しんでいるのかわからない。 出てしまえば楽になれる。 そう思い手を伸ばす。 しかし 出てしまうと或はこれ以上の苦痛。 伸ばした手がピクリと止まる。
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