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隣りの席の、私の好きな人。
少し、怠そうに、机に伏せている。
大丈夫かな?と、心配しながら見ていたら。
「大丈夫?」
好きな人の隣りから、女の子が、声をかけた。
その声に、むくりと、身体を起こし。
「大丈夫」
そう、答える。
私は、そのやりとりを見ながら、胸がモヤモヤした。
声をかけられなかったのは自分なのに、わかっていても、胸がモヤモヤする。
きっと、私は、彼女に嫉妬している。
そんな思いを巡らせながら、二人を見ていた。
すると、好きな人が、くるりとこちらに振り向いた。
何でか、あたふたしてしまう私。
「熱計らして」
そう言った、好きな人の手が伸びてくる。
思わず、目蓋を閉じてしまう。
気がついたときには、ひんやりとした手が、私のおでこに触れていた。
「ん~。あんま変わんないか?」
それは、私の熱と、ひんやりした手のせい。
と思ったけど、もう少しこのままでいたいから、黙っていた。
顔がすごく近くて、息づかいが聞こえる。
胸が高鳴るのを止められなくて…でも止められなくて…。
しばらくして、ひんやりとしなくなった手は、私から離れていった。
けれど、好きな人の熱は、私に移り、淡い恋心に熱を残した。
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