私のものになりなさい

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 目を開ける。  ……どこだろう、ここは。  白色の高級そうな家具で統一された、どこか上品な雰囲気。全く見覚えのない部屋だった。  なぜ、自分がこんな場所に? ベッドの上だった。周りの家具同様、シックなベッド。上品な香りが鼻腔をくすぐる。  上体を起こそうとして――気付く。 「――なっ!」  両腕、両足が、縄で拘束されていた。太い縄で、とてもじゃないが俺の力ではどうする事もできない。  腹筋を使い、なんとか上体を起こす事に成功した。  何はともあれ、まずは状況の整理だ。  ――一体全体、何がどうなっているのだろう? 俺はどうして、こんな場所に?  これってまさか……誘拐? 「あら? 気がついたかしら?」  ふと、鈴を転がしたような声が静寂を破る。  聞き覚えのある声。俺は、声のする方向へと顔を向けた。
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