1108人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぜぇっ、はぁ、はぁ、はぁ、っ、ーーー!」
どさっ
(さすがにもうやばい・・・、目が霞んできた・・・。・・・腹・・・減っ・・・た・・・。)
砂塵舞う荒野、ボロボロの茶色の外套を纏った男は空腹のため、力無くその場に倒れた。
倒れ伏した男の名前はユキト・シルベルタ(18歳)である。
身長は高いわけではないが低くもなく、少し華奢な印象を受ける。
では、外見の特徴はというと、長めの白髪に、赤い瞳で目つきは少し悪く、外套から見える服は、上から下まで黒い革製の物という一風変わった物だ。
(こんなトコロで餓死とは・・・な、魔陣園出身の魔術士の名折れだ…)
がくっ
ユキトはそこで自らの意識を手放した。すなわち餓死を受け入れた・・・。
数分後―――
嘶きと共に、ユキトの前に馬車が一台止まった。
「御者さん、どうかしたのですか??」
馬車の中から可憐な少女の声が問いかける。
「はい、それが・・・、道に男が倒れていまして・・・。」
御者の男は申し訳なさそうに答えた。
「捨て置きなさい。」
最初のコメントを投稿しよう!