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御者に厳しく言い捨てる老年の声が馬車の中から聞こえた。
「ダメです!!
困っている人を見捨てるなんて許しませんっ!!」
「城に連れて帰り、介抱します」
少女は凛と言い放った。
「ひ、姫様・・・っ、なりませぬ。王不在のこの時にどこの馬の骨ともわからぬ者を城に入れるなどと・・・。」
うろたえるような老年の声に・・・
「私(わたくし)はもう決めました。」
凛とした態度を崩さない姫様と呼ばれた少女。
「むぅ・・・、姫様は一度決めると頑固ですからな・・・。」
その声に
「ではっ♪」
嬉しそうな少女の声が反応する。
「しかたありますまい。
その男を馬車の荷物台に乗せよ。」
「はっ」
ユキトは馬車に積み込まれた。
「じぃ、ひどいっ!」
悲痛な少女の声。
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