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「どうして? どうしてよっ……。私に何の恨みがあるって言うのっ?」
近所に住む葬儀を手伝いに来た人達は香茅の悲痛な叫びにハンカチを取りだし涙をそっと拭った。
じわり、とハンカチに染みが広がる。
「もう、見てられないわっ」
隣りのおばさんは香茅が打ちのめされる姿に耐え切れなくなりスリッパを履いたまま外へと駆け出しおよおよ、と泣いていた。
向かいのおじさんや裏のお姉さんも香茅の肩を軽く叩き、勇気付けて一人また一人と香茅宅を後にした。
香茅は独り、無駄に広い一軒家に取り残される。
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