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※この物語はフィクションです。
物語内に記載されている実在の用語や人物に若干の相違があることをあらかじめご了承ください。
1945年……
世界は俗に言う『第二次世界大戦』の真っ只中であった。
当時としては珍しい生物学の権威であった『暁(あかつき)宗一郎教授』は、日本政府の上層部より『特命』を受けていた……
日本……
とある場所の薄暗い…いや、漆黒の闇の中…そう、地下深くにある暁教授の研究所。
そこには、長さが3メートルほどもある、太く巨大な試験管がいくつも並べられていた。
その中で研究に没頭する中年の男、暁宗一郎。
まだ40代であるが、頭髪は白髪と化し、顔も実際の年齢より10歳以上も老けて見えた。
長い年月を、この地下研究所で過ごしたせいであろうか……
精神をも病んでいるようだ。
「あと少し…
あと少しで、国皇陛下より仰せつかった物が完成する……!
これが完成すれば日本は世界の頂点に立ち、そして……!」
ほとんど明かりも無い研究所内に一瞬光が射した。
10本以上もある、巨大な試験管の中に入っている物……
それは全裸の人間だった。
女性も何人か混じっているようであり、試験管の中は不気味な色の液体で満たされていた。
月日は流れ、その年の8月。
暁教授の研究は、まもなく完成を迎えようとしていた。
そんな折り、この月に、日本を今までにない大きな衝撃が襲った……
そう、2つの都市に落とされた『光子爆弾』である。
地下深くにいるために、外で起こっている出来事を全く知る由もない暁教授。
そして8月15日、戦争は終結……
日本は敗戦した……
奇しくも暁教授の研究はその日に完成を見ていたのだった。
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