闇の底から

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「早くラコタの元に連れて行こう。闇に堕ちたら連れ戻さないと、一生このままだ」 何の事を言っているのかは判らないが、とにかくラコタの治療が必要である事は確かだ。 『そうは行かぬぞ?ジーク、サクラを連れて我の元に来い』 何処からとも無く聞こえてくる、低く禍々しい声。 「うっ……あああっ!く……っ!」 その声と同時に苦しみ出すジーク。 更にパイロとマリンが俺達に追いついてきた。 「ジーク、どうしたの?!サ…サクラ!?」 「こ……ここは私が父上を引き留める、早くラコタの元へ行け……!」 駆け寄るマリン達を待たずに、苦しみながら叫ぶジーク。 「しかし……」 「大丈夫だ……もう操られはしない。シュウ、サクラを救えるのはお前だけだ。早く行け!」 俺はジークに背を向け外に向かって走った。 「ジーク……!」 パイロとマリンは戸惑い、ジークに駆け寄る。 「来るな!邪気に飲み込まれるぞ!早く行け!」 「ジーク……!必ず助けに来るからな!」 二人も俺の後を追い、走り出す。 アルスは飛行船を応急で修理し、すぐに出発出来る様に準備していた。
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