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あらかたの魔物を片付けて、俺も入り口へと入った。
すると塔の上から翼の生えた魔物が一体、俺達に向かって降りて来た。
その腕には、白い服を身に纏った……サクラ!!
「ジーク様……すみません……私が……私のせいで……」
涙を流しながら魔族の女がジークの前に舞い降りる。
「サクラ……どうしたのだ!これは……」
ジークはサクラの姿を見て事情を話せと詰め寄った。
俺は魔族の女からサクラを受け取り、震えながらサクラを見つめた。
酷く軽い。
唇は乾き、肉が削げ落ち、目は虚ろだ。
まるで生気を感じない。
「サ……クラ、サクラ……!」
呼んでも全く反応が無い。
「わ……私がここまで追い詰めてしまいました……。サクラ様の優しい気持ちに付け込み、魂を闇に落としてしまいました……!」
魂を闇に……?
「なんて事を……!」
「申し訳ありません!どの様な罰も受ける所存です」
「その様な事をしてもサクラは喜びはしない。下がれ」
両手を床に付き、項垂れていた魔族の女は、逃げる様に塔の上へと飛び去った。
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