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「強さの順ね……なるほど。それは良いことを聞いた。ってことはあんたなら勝てそうだ」
大輝は指をパキパキと鳴らす。
そして足を一歩引き身構える。
隣にいる真希菜も、しっかりと敵を見つめていた。
以前なら、大輝の後ろに隠れるように立っていてもおかしくないほどだったのに。
「さて、そろそろ行きましょうか」
西条はだらんと垂らした両腕に力を込めていく。
そして息をふっと吐いた後、右の腕をすっと上げた。
「そうそう、あなたさっき言ったわね。『私なら勝てそう』って。だったら、どうして私がわざわざ六番手だって明かしたかわかる?」
西条はもう片方の腕も水平に上げる。
そして両の手のひらを大輝に向けたまま、ゆっくりと歩み寄った。
大輝は少したじろぐ。
それは西条が何をするのか不気味だから、というのもある。
だが大輝は、その頭の良さが逆に仇となった。
西条が言う「六番手だと明かした理由」を悟ってしまったからである。
西条はそれに気付いたのか、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「そう。私が六番手だと明かしたのは、ミスでも作戦でもなんでもないの。ただ──」
「六番手の私でも、あなたを殺すのは簡単だということ」
次の瞬間、大輝は腹部に凄まじい衝撃を感じた。
無論西条は触れていない。
そして大輝は、おびただしい量の血を吐いて倒れた。
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