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要(そう言えば朝倉のヤツもそんなことを‥‥)
この時、要は自らのクラスの情報屋である少女がいつだったか似たような事を言っていたのを思い出す。
要「そうか‥‥済まないが、急いでいるんでな。失礼する」
要はそう言うとその場を後にし、再び森へと続く道を進もうとする。
高音「あっ!!待ちなさい!!」
しかし、それは高音によって阻まれるのだった。
要「‥‥今度は何だ」
再度引き止められたためか、心なしか威圧の篭った声で振り向く。
‥‥先輩である彼女に敬語を使う気は彼には微塵も無いらしい‥
高音「い、いや、そっちは今行かない方がいいわよ?」
その気に圧されてか、彼女の頬に冷や汗が一筋流れ、言葉が吃(ドモ)る。
メイ「そ、そーですよ!今そっちの森には‥‥ッ!!」
何とかして要の進行を阻止したいのだろう。
メイも高音に続こうとするが、要らぬ事を口走りそうになり、手で口を被って強制的に口を閉ざした。
要「あぁ‥あの森には今、悪魔がいるな」
メイの一言を聞き逃さなかった彼はそれだけで確信する。
この二人は『コチラ側の世界』の人間である、と。
普通ならば要が言った言葉を聞いた者は、まず真に受けはしないだろう。
だが実際、この二人は明らかな驚愕と動揺をその端麗な顔にあらわにしているのだから‥‥
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