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「つまり……?」
「防御魔法をお前に被せ、威力を半減させた。」
司王のその言葉に目を見開きながらも、ナディアは納得したように頷いた。
「成る程―――だから、私は生きているのか……」
まさか、味方に邪魔されるとは思わなかった。
そんな複雑な思いを秘めながら、ナディアはゆっくりと立ち上がる。
「それで、あいつは……」
ふらつく体を司王に支えられながら、ナディアは窺うように周りを見渡す。
しかし瓦礫の山となっている部屋以外特に何もなく、クルスの姿が見えることはなかった。
「死んだのか……?」
パラパラと、崩れかけた天井の破片が落ちてくる。
自分と同じように、限界まで魔力を引き出していたクルス。
ナディアは防御魔法のおかげで命をなくすことはなかったが―――
「―――そんなに簡単には終わらない。」
「何……?」
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