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司王の言葉に答えたのはカルマ。
司王は眠る鷹夜の髪を梳きながら漂っているカルマを睨みつけ、意味がわからないといった風に再びため息をついた。
「意味がわからん。
あんたがさっさと連れ出せばいいことだろ?」
顔を向けることなくぞんざいに言いはなった司王にカルマは耳障りの悪い笑みを零すと、すいっと指を一本出した。
『まず一つ、こんなに安らかに眠る若を移動させるのは忍びない。』
「おい……」
その言い分に司王は片眉を上げるが、カルマはさらに人差し指と中指を突き出した。
『二つ目、若の命令なしでは動かない。』
「おいおい……」
さらに司王は声を上げるが、カルマはまたもや無視して指を3本突き出した。
『そして最後、若には帰る場所がない。』
「そんなこと、知ったことじゃない。
それにいとしの若様は、あの華野の人間だろ?
別荘もあわせりゃ、いくらでも寝る場所はあるだろうが……」
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