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「面白くもなんともねぇ……」
そう言って司王は何度目かわからない舌打ちをすると、カルマたちの存在を忘れるように蛍石へと向き直った。
「カルマ……」
そんな司王をおかしそうに眺めていたカルマだったが、下から紡がれた言葉で視線を向けた。
「起こしてしまったか……」
申し訳なさそうな言葉に大丈夫とだけ言い、鷹夜は目を擦りながら司王を見つめた。
しかしそんな鷹夜の視線に気がついているくせに、司王は何も言わない。
ただ選別するために、蛍石とにらめっこしていた。
「右の箱が防具用、中央の箱が武器用。
左の箱が宝飾用、そして下の箱が何かを作る時に使う繋ぎ用だね。」
「っ……?!」
近くまでよってその作業を見ていた鷹夜が断定的に囁くと、司王は驚いたように目を見開いた。
それに鷹夜はにっこりと笑って応える。
「やっとまともにこっち見てくれた。」
どこか嬉しそうな鷹夜の声。
しかしそれよりも、司王は先程の鷹夜の言葉が気になった。
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