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次第に意識が浮上していき、億劫だなと思いつつもゆっくりと瞼を上げた。
そしてソファーで縮こまって寝てしまったせいでガチガチになった関節を伸ばすと、よろよろと立ち上がる。
「朝、か……」
一晩中開けっ放しにしていた窓に近付き、眩しい太陽の光を手で遮りながら窓を閉める。
そしてぽりぽりと頭を掻きながら、工房へと続く扉を開く。
未だにムワッとした空気が流れてくるが気にすることなく工房に入り、夜中に水の中に入れたままにしていた鉄の塊を取り出した。
自分が濡れることすらどうでもよくて、そのまま冷え固まった鉄を年季の入った作業台の上に乗せる。
「まぁ、こんなもんだろ。」
じっと鉄を睨むように見てから呟き、近くにあったタオルを頭に巻く。
最近前髪が伸びてきたせいで、作業に邪魔なのだ。
サラサラの銀髪を無造作にタオルで巻き上げると、作業台の片隅に置いてあった紙を鉄の塊の上に乗せる。
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