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呆れそしてどこか諦めたような声で、小さく囁く。
そして顔を背けた司王を振り向かすことなく鷹夜は笑うと、その手から蛍石を奪った。
「ねぇ、工房ってどっち?」
「ちょっ、おいっ?!」
蛍石片手に駆け出した鷹夜に司王は慌てて立ち上がり、困惑げに言葉を零した。
「お前、何をしに工房に……」
「僕が、魔具を作る。」
司王の言葉を遮り、鷹夜はにこりと笑いながら言う。
それに一瞬呆気にとられてしまうが、司王は直ぐさま息を吹き返したように鷹夜の腕を掴んだ。
「大丈夫、道具には手を出さない。
場所を貸してもらうだけ。」
そう言って司王の手を振り払い、後ろに控えていたカルマに目を向ける。
「行くよ、カルマ。」
『御意。』
勝手に進めていく鷹夜たちに呆然としていると、それを了承ととったのかずかずかと奥へと入っていった。
「っ……あぁもぅっ!」
頭を掻きむしりたい衝動にかられながら、司王は急いで鷹夜の後を追った。
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