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呻くような司王の言葉を、鷹夜は見事にスルーしていく。
のらりくらりと司王の言葉をかわしながら鷹夜は工房の扉に手をかけると、勢いよく開け放った。
それと同時に襲ってくる、むわっとした空気。
それをどこか懐かしそうに目を細め、鷹夜は元気よく振り向いた。
「早速始めていくから、いつものを出してくれない?」
そう言ってカルマの返事を聞くことなく炉に近付いていけば、司王が盛大に舌打ちをした。
そんな中カルマは手にした鎌で大きく亀裂を創ると、その中から鷹夜が魔具作りで使う道具を次々と出していく。
『道具は揃ったが、他に何かあるか?』
その言葉にようやく鷹夜が視線を向けると、司王に聞こえないようにカルマの耳に口を近づけて囁いた。
『ふむ……承知した。』
カルマは鷹夜の言葉に頷くと、司王に見えないようにしながら再び亀裂から何かを出していた。
「さぁ、今からあなたへのプレゼントを作るんだ。
だから少し席を外してくれないかい?」
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