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「金と、口利きしてくれるギルド関係のお偉いさんが必要ってことだ。」
「汚い世界だこと。」
鷹夜は呆れたようにため息をつくと、ふと思い出したように手を叩いた。
「いやはや、いつの間にか忘れそうになっていた。
司王に渡したいものがあるんだ。」
そう言ってやっと子供らしい笑顔を浮かべると、鷹夜はゆっくりと振り返る。
そこにはいつの間にかカルマが立っており、恭しく両手を出していた。
「ありがとう、カルマ。」
鷹夜は早口でカルマに礼を言い、その両手に乗る何かを手に取った。
「悪いけど、ちょっと目を閉じてくれない?」
「はぁ?」
その奇妙なお願いに司王が顔をしかめれば、鷹夜は妖しく口端を上げる。
「早く閉じてよ。
でないと、無理矢理目を閉じさせるよ……?」
言った瞬間鷹夜の背後から沸き上がる、黒いオーラ。
無意識のうちに、逆らってはいけないと思わせるほどの嫌な笑いだった。
「ちっ……」
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