ギルド

2/29
前へ
/724ページ
次へ
上下に揺れる、薄い布。 それに忍び寄る、黒い影がいた。 あと3メートル、2メートル、1メートル――― 「司王~起きろぉ!」 美しいボーイソプラノの声を響かせ影がその布に突撃すれば、布の下からまるでかえるを潰したような変な声が聞こえた。 「ほらほら、朝だよぉ!」 影―――鷹夜は満面の笑みを零しながらその布の上をジャンプしていると、いきなり布が盛り上がった。 そして鷹夜の襟首を素早く掴むと、ごみ箱に向かって思い切り投げる。 「朝からやかましいっ!」 ぜいぜいと息をつきながら、きつく睨む司王。 「しかも人様を足蹴にするとは、どういう教育を受けてきたんだっ!」 やはり自分の上で暴れられたのが痛かったのか、司王は赤い顔をしながら体中撫でている。 「気配に気付かない司王が悪いんだよ。」 悪びれもしない鷹夜。 司王に思い切り投げられてごみ箱にダイブするわけがなく、鷹夜はいつの間にかいたカルマに抱かれていた。 .
/724ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9488人が本棚に入れています
本棚に追加