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上下に揺れる、薄い布。
それに忍び寄る、黒い影がいた。
あと3メートル、2メートル、1メートル―――
「司王~起きろぉ!」
美しいボーイソプラノの声を響かせ影がその布に突撃すれば、布の下からまるでかえるを潰したような変な声が聞こえた。
「ほらほら、朝だよぉ!」
影―――鷹夜は満面の笑みを零しながらその布の上をジャンプしていると、いきなり布が盛り上がった。
そして鷹夜の襟首を素早く掴むと、ごみ箱に向かって思い切り投げる。
「朝からやかましいっ!」
ぜいぜいと息をつきながら、きつく睨む司王。
「しかも人様を足蹴にするとは、どういう教育を受けてきたんだっ!」
やはり自分の上で暴れられたのが痛かったのか、司王は赤い顔をしながら体中撫でている。
「気配に気付かない司王が悪いんだよ。」
悪びれもしない鷹夜。
司王に思い切り投げられてごみ箱にダイブするわけがなく、鷹夜はいつの間にかいたカルマに抱かれていた。
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