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「大人しくごみ箱に入いればいいものを……」
悔しそうに司王が言えば、鷹夜は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「嫌だ、何が楽しくてごみまみれにならなくちゃいけないんだよ。」
鷹夜は腰に手をあてながら頬を膨らませると、何かを思い出したように手を叩いた。
「そうだ、こんなことしている暇はないんだ。
司王、早く着替えて!」
そう言って鷹夜はまだ寝転んだままの司王の腕を引くと、勢いよく立たせた。
「何なんだよ……」
「いいから、早く!」
意味もわからず起こされた司王は苛立ちながら言うが、鷹夜は聞く耳を持たない。
そのまま司王を引きずっていき、洗面所へと詰め込む。
そして出てこれないように扉を閉めると、鷹夜は楽しそうな声で言った。
「早くして、今日は出かけるんだからさ。」
語尾に音符がついたような、弾んだ声。
それに司王は苛々しながら叫ぶが、これまた鷹夜が堪えるわけがない。
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