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「メロディ、見てごらん。
大きな花火が上がっているよ。」
「…………」
喧騒から少し離れた丘の上で、鷹夜は隣のメロディに話しかける。
視線の先には、真っ赤に燃える空と崩れていくギルドがあった。
「メロディ―――どうやら、終わったみたいだよ。」
「…………」
空から視線を外し、鷹夜はメロディを見つめる。
その顔は炎に照らされ、やけに大人びて見えた。
「終わりは始まりだってよく言うけど―――君はどう思う?」
「終わりは、始まり……」
鷹夜の言葉を小さく復唱し、メロディはおもむろに手を伸ばす。
そしてゆっくりと鷹夜の手を握った。
「メロディ……」
「…………」
僅かに驚きを見せる鷹夜を気にすることなく、メロディは体を擦り寄せる。
そしてそのまま燃え上がる空を見上げていた。
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