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パラパラと、何かの破片が降り注ぐ。
その細かい何かが顔に当たり、ナディアは睫毛を震わせる。
そしてゆっくりと目を開けた。
「あれ……?」
ゆっくりと手を動かそうとするが、意思に反して動いてくれない。
ナディアは怪訝な表情を浮かべながら目だけで周りを見渡すと、すぐ近くに司王の背中が見えた。
「司王……?」
「―――起きたか……」
ナディアのその声に、司王の背中がピクリと動く。
しかしこちらを振り返ることはない。
「なぁ―――なんで体が動かないんだ?」
そんな司王の様子を訝ることなく、ナディアは不思議そうに尋ねる。
自分自身を見たいのだが、体が上手く動いてくれなくて見ることができなかった。
そんなナディアに、司王はやはり振り返ることなく口を開いた。
「無茶した代償だ―――少しは反省しろ。」
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