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「代償、か……」
司王の背中から視線を外し、ナディアは小さく笑う。
本当は自爆してクルスを消そうと思っていたのだから、生きているだけでよしとしないといけないのかもしれない。
「クルスは……?」
「…………」
何故か答えることなく、おもむろに司王は立ち上がる。
そしてようやくナディアに視線を向けた。
「―――馬鹿が……」
「はぁ……?」
いきなりの言葉に、ナディアは目を丸くする。
そんなナディアを残して、司王は足を進めていく。
「司王……?」
「―――心配するな。」
そう言って、司王は指を鳴らす。
するとその瞬間、あれ程動かなかった体が動くようになったのだ。
ナディアは恐る恐る体を起こす。
「これは……」
「ただの防御魔法だ。」
スタスタとナディアに近付き、その額を小突く。
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