9490人が本棚に入れています
本棚に追加
「勝手に死のうとするな―――この馬鹿……」
「お前……」
呆然としているナディアに小さく笑みを見せ、司王は髪をかき上げる。
白銀に輝く髪が、赤い空にサラサラと流れる。
それはどこか神々しさを醸し出していた。
「―――不思議そうな顔してるな……?」
「当たり前だろ。」
司王のその言葉に、ナディアは口を尖らせる。
「私は失敗したつもりはないのに……」
「確かに、失敗はしていない。
俺が邪魔しただけだ。」
ナディアの隣に腰を下ろし、司王は穴のあいた天井を見上げる。
そんな司王の横顔を、ナディアは怪訝な表情で見つめた。
「邪魔したって―――どういうことだ?」
「俺はお前みたいに器用ではないから、魔術に干渉することはできない。
だから、それなりに得意な防御魔法を使ったんだ。」
瞬き一つで大剣を出現させ、司王は相変わらずの無表情で口を開く。
.
最初のコメントを投稿しよう!