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司王の淡々としたその言葉に、ナディアは弾かれたように視線を向ける。
「どういうことだ……?」
「―――ついてこい。」
眉をひそめるナディアの肩を叩き、司王はいきなり瓦礫の中を歩いていく。
「おっ、おい……?!」
いきなりのその行動に目を丸くしながらも、ナディアはついていこうとした。
しかし予想以上に力を消費しているようで、自分の体なのに上手く動かすことができない。
「っ……」
まともに歩くこともできず、ナディアはよろりと体を傾ぐ。
倒れるなと感じた瞬間、支えるように逞しい腕が伸びてきた。
そして有無を言わす暇も与えず、お姫様のように抱き上げられたのだ。
「なっ?!」
「面倒だ。」
驚きと不安定なその格好に、ナディアは目を見開きながら司王に縋り付く。
「面倒って……」
「支えて歩くより、こっちのほうが早い。」
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