復讐の果て

8/12
前へ
/724ページ
次へ
司王の淡々としたその言葉に、ナディアは弾かれたように視線を向ける。 「どういうことだ……?」 「―――ついてこい。」 眉をひそめるナディアの肩を叩き、司王はいきなり瓦礫の中を歩いていく。 「おっ、おい……?!」 いきなりのその行動に目を丸くしながらも、ナディアはついていこうとした。 しかし予想以上に力を消費しているようで、自分の体なのに上手く動かすことができない。 「っ……」 まともに歩くこともできず、ナディアはよろりと体を傾ぐ。 倒れるなと感じた瞬間、支えるように逞しい腕が伸びてきた。 そして有無を言わす暇も与えず、お姫様のように抱き上げられたのだ。 「なっ?!」 「面倒だ。」 驚きと不安定なその格好に、ナディアは目を見開きながら司王に縋り付く。 「面倒って……」 「支えて歩くより、こっちのほうが早い。」 .
/724ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9490人が本棚に入れています
本棚に追加