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吃り気味なナディアを綺麗さっぱり無視しながら、司王は瓦礫の山を駆け上がっていく。
そして少し開けた位置につくと、ゆっくりとナディアを下ろした。
そんなナディアの目の前に、ある人物の姿が現れる。
「こいつ―――もしかして……」
「…………」
驚愕しながらこぼれ落ちたナディアのその言葉に、司王は無言で頷く。
その行動は、すなわちナディアの言いたいことを肯定するものだった。
「しかし……」
「―――間違いなく、クルス本人だ。」
それでも信じられないとばかりに、ナディアは緩く首を横に振る。
しかしそんなナディアを視界におさめながら、司王は淡々と口を開いた。
「なんで……」
「推測ではあるが―――魔力の暴走が原因だろう。」
声を震わせるナディアの肩を叩き、司王はその人物―――クルスにゆっくりと近付く。
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