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『行かれよ……』
そう言うやいなや、カルマは思い切り司王の背中を押す。
「うわっ?!」
いきなりのことに司王はたたらを踏むように前にでると、鷹夜の目の前で足を止めた。
「ほら、行くよ?」
そう言って鷹夜は手を伸ばす。
それから視線を外しながら司王は足元を見ると、口を開いた。
「転移魔法『トランスファー』の魔法陣なんか出して、どうするつもりだ?」
「一人なら簡易的なもので十分だけど、今日は司王もいるからね。
できるだけ安全な方がいいでしょ?」
そう言って鷹夜は笑みを浮かべ、未だに躊躇している司王の腕を掴む。
そして無理矢理司王を魔法陣の中に入れると、鷹夜はカルマに視線を向けた。
「それじゃあカルマ、お留守番よろしくね。」
『気をつけて行けよ。』
鷹夜はカルマに一度手を振り、直ぐさま魔法陣に魔力を注ぎ込む。
「それじゃあ行くよ、『トランスファー』!」
元気いっぱいの声で唱えれば、鷹夜たちは光と共に転移していた。
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