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「いきなり、かつ無理矢理転移かよ……」
司王は疲れたように盛大なため息をつき、今の状況を理解しようと顔を上げた。
「…………」
その瞬間、目の前のレンガ造りの雄大な建物に言葉を無くす。
扉は5人が横に並んでも余裕で入れる程の広さがあり、小さなベルが取り付けられている。
一見すればホテルのような外観であるが、外に設置された掲示板などを見る限りそうではないことがわかる。
「ここは……」
呆然とする司王を無視して鷹夜は平然と扉に手をかけると、訝るように振り向いた。
「何をしているの、早く入るよ。」
せかすような鷹夜の声。
周りにそれなりに人通りもあるので、早く中に入りたいのだが―――
そんな願いもむなしく司王が動く気配はなく、ただ呆然と建物を見つめている。
「あぁ、もうっ!」
まどろっこしいと鷹夜が呆れたように叫ぶと、放心状態の司王の腕を掴んだ。
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